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麦門冬湯(ばくもんどうとう)とは?
空咳・のどの乾燥に効く漢方を薬剤師が解説

麦門冬湯(ばくもんどうとう)の解説図解

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この記事でわかること

  • 麦門冬湯の効能・効果と適した体質(証)
  • 「空咳」と「痰が切れにくい咳」の違い
  • 構成生薬7種とそのポイント
  • 登録販売者試験での頻出ポイント
  • 小青竜湯・麻黄湯との使い分け
  • 副作用と注意点

麦門冬湯とは

咳き込んでも痰が出ない。のどがイガイガして乾いた感じがする。寝るときや朝起きたとき、乾いた空気の中で特に咳が出る。

こういった咳は「乾燥からくる咳」です。体の水分が不足して、のどや気道が潤いを失うと、少しの刺激でも咳が出やすくなります。これを漢方では「肺の陰虚(いんきょ)」と呼びます。肺を潤す水分が足りない状態、というイメージです。

麦門冬湯はこの「乾燥した咳」に直接アプローチします。のどや気道に潤いを与えることで、咳を鎮め、痰を出しやすくする処方です。マオウ(麻黄)を含まないため体への負担が少なく、高齢者や体力が落ちている方にも使いやすい漢方です。

💊 薬剤師のひとこと

咳の漢方で一番大切なのは「どんな咳か」を見極めることです。麦門冬湯は「乾いた咳・痰が少ない・のどが渇く」のがポイント。逆に「水っぽい鼻水と一緒にさらさらした痰が出る」なら小青竜湯の出番です。「痰は出ますか?どんな色・質感ですか?」と聞くだけで、処方の方向性が大きく変わります。

【証】麦門冬湯が合う体質・合わない体質

麦門冬湯は体力中等度以下の人向けの漢方です。乾燥した体質・高齢者に特に使いやすい処方です。

✅ こんな人・場面に向いている
  • 体力中等度以下の人
  • 乾いた咳(空咳)が続いている人
  • 痰が切れにくい人(少量の粘り気のある痰)
  • のどや口が乾燥している
  • 咳き込んで顔が赤くなるほど激しく咳が出る人
  • 風邪の後半、熱が下がってからも咳だけ残っている人
  • 高齢者・乾燥しやすい体質の人
⚠️ こんな人は注意が必要
  • 水様性の痰(さらさらした痰)が多い人(乾燥の咳ではないため不向き)
  • 体が冷えている人(体を潤す薬のため冷えが強い場合は合わないことがある)
  • 胃腸が非常に弱い人(半夏・麦門冬が胃に触ることがある)
  • 妊娠中の人(要相談)

麦門冬湯の効能・効果

添付文書に記載された正式な効能効果は以下の通りです。試験にもそのまま出題されるので、正確に覚えましょう。

📋 添付文書より

体力中等度以下で、痰が切れにくく、ときに強くせき込み、又は咽頭の乾燥感があるものの次の諸症:
からぜき、気管支炎、気管支喘息、咽頭炎、しわがれ声

試験で必ず押さえる3点:

「痰が切れにくい+のどの乾燥感」がセット

この2つが一緒に出ているのが麦門冬湯の特徴

「からぜき(空咳)」が最もわかりやすい適応

痰が出ない乾いた咳が特徴

「しわがれ声」も含まれる

声がれを伴う乾燥系の症状全般に使える

【試験対策】登録販売者試験の頻出ポイント

麦門冬湯は登録販売者試験の第3章で頻出の漢方です。以下を確実に押さえましょう。

① 構成生薬は7種

名前の通り、麦門冬(バクモンドウ)が主薬です。「粳米(コウベイ)=お米」が入っているのが麦門冬湯のユニークなポイントです。

生薬名 読み方 主な働き
麦門冬 バクモンドウ 主薬 のどや肺を潤す・咳を鎮める
半夏 ハンゲ 痰を切る・吐き気を止める
人参 ニンジン 気を補う・胃腸を元気にする
甘草 カンゾウ 重要 咳を鎮める・諸薬を調和する
粳米 コウベイ 特徴 胃腸を保護する(お米のこと)
大棗 タイソウ 気を補う・胃腸を整える
生姜 ショウキョウ 胃を温める・半夏の副作用を和らげる

② マオウ(麻黄)を含まない(最重要ポイント)

咳の漢方といえばマオウ含有が多いですが、麦門冬湯はマオウなし。試験での引っかけポイントとしてよく出ます。

マオウ(麻黄)

→ 含まれない

カンゾウ(甘草)

→ 含まれる

ダイオウ(大黄)

→ 含まれない

③ カンゾウ含有 → 偽アルドステロン症に注意

カンゾウが入っているため、長期・大量使用では偽アルドステロン症のリスクがあります。他のカンゾウ含有製剤との重複にも注意してください。

④ 咳の漢方3種の使い分け

試験では「どの咳にどの漢方か」という比較問題がよく出ます。この表を頭に入れておくと咳の問題はほぼ対応できます。

漢方名 咳の特徴 マオウ
麦門冬湯 乾いた咳・痰が少ない・のど乾燥 ❌ なし
小青竜湯 水様性の鼻水・さらさらした痰 ✅ あり
麻黄湯 発熱・悪寒を伴う風邪の咳 ✅ あり

⑤ よく出る試験問題パターン

Q. 麦門冬湯について正しいものはどれか?

  • ❌「マオウが含まれる」→ 誤り(含まれない)
  • ❌「水様性の痰が多い人に向いている」→ 誤り(乾燥・粘性の痰が適応)
  • ❌「体力充実した人向けである」→ 誤り(体力中等度以下)
  • ✅「痰が切れにくく、のどの乾燥感がある空咳に用いる」→ 正しい
  • ✅「マオウを含まないため、心臓への負担が少ない」→ 正しい

麦門冬湯の副作用と注意点

マオウを含まないため、動悸・血圧上昇といったマオウ由来の副作用がない点が特徴です。ただしカンゾウを含むため、長期使用には注意が必要です。

甘草(カンゾウ)による副作用

  • 偽アルドステロン症(長期・大量使用):むくみ・血圧上昇・低カリウム血症
  • ※他のカンゾウ含有製剤との重複に注意する

その他の副作用・注意点

  • 胃部不快感・食欲不振(まれ)
  • 発疹・発赤・かゆみ(過敏症)
  • 咳が長く続く・血痰が出る・発熱が続く場合は医療機関への受診をすすめる
  • ※ACE阻害薬(降圧薬)による薬剤性の空咳は麦門冬湯では対応できないため主治医への相談を促す

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まとめ|麦門冬湯を正しく使うために

項目ポイント
向いている体質 体力中等度以下(乾燥しやすい・高齢者にも使いやすい)
効能 空咳・痰が切れにくい咳・のどの乾燥・気管支炎・しわがれ声
構成生薬 7種(マオウなし・カンゾウあり)
最大の特徴 のどを潤して乾いた咳を鎮める。マオウを含まない咳の漢方
試験の頻出ポイント マオウなし・乾いた咳・小青竜湯との使い分け
副作用 偽アルドステロン症(カンゾウ)・胃部不快感

麦門冬湯は「乾燥した咳専用の漢方」です。痰が少ない・のどが渇く・咳き込むけど痰が出ない、そういった訴えにピタリと合う処方です。

小青竜湯との使い分けを明確にして、「どんな咳か」を聞き取る習慣をつけましょう。マオウを含まないため高齢者にも使いやすく、ドラッグストアでの相談対応でも自信を持って提案できます。

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📝 この記事を書いた人

薬剤師・薬局長(薬剤師歴18年)。調剤薬局で漢方の服薬指導を日常的に行っています。登録販売者試験の頻出漢方を、現場の視点からわかりやすく解説します。