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越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)とは?
関節の腫れ・湿疹・むくみに効く漢方を薬剤師が解説

越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)の解説図解

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この記事でわかること

  • 越婢加朮湯の効能・効果と適した体質(証)
  • 「熱と水が関節にたまる」とはどういう状態か
  • 構成生薬6種とそのポイント
  • 登録販売者試験での頻出ポイント
  • 防己黄耆湯との使い分け
  • 副作用と注意点

越婢加朮湯とは

関節が腫れて熱を持ち、痛くて動かしにくい。皮膚が赤くなってかゆい・ジュクジュクしている。体がむくんでいて、尿量が少ない。

こういった状態を漢方では「熱と水(すい)が体にたまっている」状態と考えます。炎症による熱が体の中にこもり、さらに水分の代謝が乱れてむくみや腫れが出ている、というイメージです。

越婢加朮湯は、この「熱+水」の状態に対応する処方です。名前の「越婢(えっぴ)」は処方の元になった「越婢湯」のこと、「加朮(かじゅつ)」は「朮(ジュツ)を加えた」という意味です。つまり、越婢湯に水分代謝を整える朮を追加した処方です。

熱を冷ましながら余分な水分も排出する、という二刀流の働きが特徴です。関節リウマチ・変形性関節症・ネフローゼ症候群など、炎症とむくみが同時に出ている状態に使われます。

💊 薬剤師のひとこと

「関節が腫れる漢方」というと防己黄耆湯も思い浮かびますが、使い分けのポイントは「熱を持っているかどうか」です。触ると熱い・赤くなっている・炎症が強い、というときは越婢加朮湯。じんわりむくんでいるけど熱感はない・疲れやすい虚弱タイプ、というときは防己黄耆湯です。マオウを含むかどうかも大きな違いで、高血圧や心臓に持病がある方には越婢加朮湯は慎重に使う必要があります。

【証】越婢加朮湯が合う体質・合わない体質

漢方薬選びで最も重要なのが「証」の確認です。越婢加朮湯は体力中等度以上で、患部に熱感がある人向けの漢方です。

✅ こんな人・場面に向いている
  • 体力中等度以上の人
  • 関節が腫れて熱を持ち、痛い人(特に下肢の関節)
  • 皮膚の湿疹・かゆみがある人(特に患部が赤く、ジュクジュクしている)
  • むくみがある人
  • 尿量が少ないと感じる人
  • 体がほてりやすい・熱がこもりやすい
⚠️ こんな人は注意が必要
  • 体力が低下している虚弱な人(マオウの刺激が強すぎることがある)
  • 冷えが強い人(体を冷やす処方のため合わないことがある)
  • 高血圧・心臓病で治療中の人(マオウ含有のため要相談)
  • 甲状腺機能亢進症の人(マオウが禁忌)
  • 排尿困難がある人(マオウが症状を悪化させることがある)
  • 妊娠中の人(要相談)
💊 薬剤師のひとこと

お客様の関節の腫れに対応するとき、「触ると熱いですか?赤くなっていますか?」と一言確認するだけで、越婢加朮湯と防己黄耆湯を正しく選べます。マオウを含む処方なので、持病(高血圧・心臓病・前立腺肥大)の有無も必ず確認しましょう。

越婢加朮湯の効能・効果

添付文書に記載された正式な効能効果は以下の通りです。試験にもそのまま出題されるので、正確に覚えましょう。

📋 添付文書より

体力中等度以上で、むくみがあり、ときに口渇があるものの次の諸症:
浮腫、関節炎、関節のはれ及び痛み、筋肉痛、湿疹・皮膚炎

試験で必ず押さえる3点:

「体力中等度以上+むくみ」がベース

虚弱体質・冷えタイプには不向き

「関節炎・関節のはれ及び痛み」が明記

炎症を伴う関節症状が主な対象

「湿疹・皮膚炎」にも対応

赤くジュクジュクした皮膚の炎症にも使える

【試験対策】登録販売者試験の頻出ポイント

越婢加朮湯は登録販売者試験の第3章で頻出の漢方です。以下を確実に押さえましょう。

① 構成生薬6種(マオウと石膏のコンビが核心)

元になった越婢湯(5種)に朮(ジュツ)を1種加えた処方です。マオウ(麻黄)と石膏(セッコウ)のコンビが熱を発散させながら水分を排出する、越婢加朮湯の核心です。

生薬名 読み方 主な働き
麻黄 マオウ 主薬 発汗・水分排出・炎症を発散させる
石膏 セッコウ 重要 体の熱を強力に冷ます・炎症を抑える
生姜 ショウキョウ 胃を温める・マオウの副作用を和らげる
大棗 タイソウ 気を補う・胃腸を整える
甘草 カンゾウ 重要 諸薬を調和する・炎症を和らげる
蒼朮/白朮 ソウジュツ/ビャクジュツ 水分代謝を整える・むくみを改善する

② マオウ・カンゾウが含まれる(超重要)

試験では「越婢加朮湯にマオウは含まれるか?」という問いが頻出です。

マオウ(麻黄)

→ 含まれる

カンゾウ(甘草)

→ 含まれる

ダイオウ(大黄)

→ 含まれない

マオウを含むため動悸・血圧上昇・排尿困難・不眠などの副作用に注意。カンゾウも含むため偽アルドステロン症のリスクもあります。

③ 防己黄耆湯との違いを押さえる(頻出!)

「関節症状+むくみ」という共通点があるため、比較問題が出やすい組み合わせです。

越婢加朮湯 防己黄耆湯
体力 中等度以上 中等度以下
関節の状態 熱を持つ・赤い・炎症が強い 腫れるが熱感は少ない
体型 問わない 色白・水太り
マオウ ✅ あり ❌ なし
発汗させる方向 止める方向

④ よく出る試験問題パターン

Q. 越婢加朮湯について正しいものはどれか?

  • ❌「マオウを含まない」→ 誤り(含まれる)
  • ❌「体力虚弱な人向けの処方である」→ 誤り(体力中等度以上)
  • ❌「防己黄耆湯と同じ体質に使う」→ 誤り(体力・熱感の有無が異なる)
  • ✅「関節の腫れや熱感を伴う関節炎・湿疹に用いる」→ 正しい
  • ✅「マオウを含むため、高血圧や心臓病の人には慎重に使う」→ 正しい

越婢加朮湯の副作用と注意点

マオウとカンゾウを両方含むため、副作用のリスクは他の処方より高めです。使用対象と使用量には特に注意が必要です。

麻黄(マオウ)による副作用

  • 動悸・血圧上昇(交感神経刺激作用)
  • 不眠・興奮
  • 排尿困難(前立腺肥大の人は特に注意)

甘草(カンゾウ)による副作用

  • 偽アルドステロン症:むくみ・血圧上昇・低カリウム血症
  • ※他のカンゾウ含有薬との重複服用でリスクが上がる
💊 薬剤師のひとこと

越婢加朮湯は高血圧・心臓病・脳血管障害の人にはマオウが血圧・心拍数を上げるため原則禁忌に近い処方です。甲状腺機能亢進症・前立腺肥大・糖尿病の方も要相談。お客様から持病を確認することが登録販売者として最も大切なポイントです。

おすすめ市販品

💊 錠剤タイプ

飲みやすい・職場や外出先でも使いやすい

🌿 顆粒タイプ

吸収が早い・関節の腫れ・湿疹にすぐ対応したい人に

まとめ|越婢加朮湯を正しく使うために

項目ポイント
向いている体質 体力中等度以上(熱がこもりやすい・炎症が強い人)
効能 関節炎・関節の腫れや痛み・湿疹・皮膚炎・むくみ
構成生薬 6種(マオウ・カンゾウあり・ダイオウなし)
最大の特徴 「熱+水」に対応。熱を冷ましながら水分を排出する
試験の頻出ポイント マオウ含有・防己黄耆湯との違い・熱感を伴う関節症状がキーワード
副作用 動悸・血圧上昇(マオウ)・偽アルドステロン症(カンゾウ)

越婢加朮湯は「炎症で熱を持った関節・皮膚の症状」に使う処方です。触ると熱い・赤い・腫れている、そういった状態がサインです。マオウを含むため副作用リスクをしっかり把握した上で、持病のある方には慎重に対応することが登録販売者として大切なポイントです。

登録販売者として、お客様に正しいアドバイスができるよう、この知識をしっかり活かしてください。

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📝 この記事を書いた人

薬剤師・薬局長(薬剤師歴18年)。調剤薬局で漢方の服薬指導を日常的に行っています。登録販売者試験の頻出漢方を、現場の視点からわかりやすく解説します。