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補中益気湯(ほちゅうえっきとう)とは?
疲労・虚弱体質に効く漢方を薬剤師が解説

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)の解説図解

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この記事でわかること

  • 補中益気湯の効能・効果と適した体質(証)
  • 「気(き)を補う」とはどういうことか
  • 構成生薬10種とそのポイント
  • 登録販売者試験での頻出ポイント
  • 他の疲労回復系漢方との違い
  • 副作用と注意点

補中益気湯とは

体がだるくて力が入らない。少し動いただけで疲れる。食欲がなく、胃腸が弱い。風邪を引きやすく、治りにくい。

こういった状態をひとことで表すと、漢方では「気虚(ききょ)」と言います。「気」とは体を動かすエネルギーのようなもの。その気が足りない状態が気虚です。

補中益気湯は、この気虚に対応する代表的な漢方薬です。名前を分解すると、「補中(ほちゅう)」は「お腹(消化器)を補う」、「益気(えっき)」は「気を増やす」という意味です。つまり、胃腸を元気にすることで気を補い、体全体の活力を取り戻す処方です。漢方の名医・李東垣が作った処方で、「医王湯(薬の王様)」とも呼ばれるほど歴史ある薬です。

💊 薬剤師のひとこと

「疲れたから飲む」という使い方が広まっていますが、補中益気湯は体力が落ちている人向けの薬です。体力が普通〜充実している人が飲んでも効果は薄く、のぼせや胃腸の不調が出ることもあります。「元気な人がもっと元気になる薬」ではなく、「体が弱っている人を底上げする薬」というイメージで覚えましょう。臨床ではがん治療中の患者さんや高齢者の体力低下・食欲不振に対して処方されることも多い処方です。

【証】補中益気湯が合う体質・合わない体質

補中益気湯は体力虚弱な人向けの漢方です。「体力が落ちている・胃腸が弱い・疲れやすい」という三拍子が揃ったときに使う薬です。

✅ こんな人・場面に向いている
  • 体力虚弱な人
  • 疲れやすい・だるい・気力がわかない
  • 食欲がない・胃腸が弱い
  • 病後・手術後の体力回復を図りたい人
  • 風邪を引きやすい・治りにくい人(免疫力が落ちている状態)
  • 夏バテがひどい人
  • 低血圧がある人
⚠️ こんな人は注意が必要
  • 体力が充実している人・のぼせが強い人(逆に体に熱がこもって調子が悪くなることがある)
  • 高血圧の人(カンゾウ含有のため偽アルドステロン症に注意)
  • 妊娠中の人(要相談)

補中益気湯の効能・効果

添付文書に記載された正式な効能効果は以下の通りです。試験にもそのまま出題されるので、正確に覚えましょう。

📋 添付文書より

体力虚弱で、元気がなく、胃腸の働きが衰えて、疲れやすいものの次の諸症:
虚弱体質、疲労倦怠、病後・術後の衰弱、食欲不振、ねあせ、感冒

試験で必ず押さえる3点:

「体力虚弱」が前提

元気な人向けではない

胃腸の弱さと疲れがセット

消化器を補うことで気を補う処方

「感冒(かぜ)」も含まれる

体力が落ちている人の風邪への対応

【試験対策】登録販売者試験の頻出ポイント

補中益気湯は試験の第3章で頻出の漢方です。以下を確実に押さえましょう。

① 構成生薬は10種

特に黄耆(オウギ)と人参(ニンジン)が主役です。この2つが「気を補う」という補中益気湯の核心を担っています。

生薬名 読み方 主な働き
黄耆 オウギ 主薬 気を補う・免疫力を高める
人参 ニンジン 主薬 気を補う・胃腸を元気にする
白朮/蒼朮 ビャクジュツ/ソウジュツ 胃腸を整える・水分代謝を助ける
甘草 カンゾウ 重要 諸薬を調和する・体を補う
当帰 トウキ 血を補う・体を温める
陳皮 チンピ 胃腸の働きを助ける・気の流れを整える
大棗 タイソウ 気を補う・胃腸を整える
生姜 ショウキョウ 胃を温める・吐き気を止める
柴胡 サイコ 気を持ち上げる・熱を冷ます
升麻 ショウマ 気を持ち上げる(下垂した臓器を引き上げる)

② カンゾウを含む → 偽アルドステロン症に注意

カンゾウが入っているため、長期・大量使用では偽アルドステロン症のリスクがあります。他のカンゾウ含有漢方との重複にも注意が必要です。

カンゾウ(甘草)

→ 含まれる

マオウ(麻黄)

→ 含まれない

ダイオウ(大黄)

→ 含まれない

③ 「体力虚弱」がキーワード

🔑 試験の決め手

試験では「どんな人に使う薬か」が必ず問われます。補中益気湯は「体力虚弱」「疲れやすい」「胃腸が弱い」という3つが揃ったときに使う薬、と覚えましょう。

④ 他の補気・補虚系漢方との比較

漢方名 体力 特徴
補中益気湯 虚弱 胃腸の弱さ+疲労・気力低下が中心
十全大補湯 虚弱 疲労+血の不足(貧血・顔色不良)
人参養栄湯 虚弱 疲労+空咳・不眠・精神不安

⑤ よく出る試験問題パターン

Q. 補中益気湯について正しいものはどれか?

  • ❌「体力充実した人の疲労回復に用いる」→ 誤り(体力虚弱が前提)
  • ❌「マオウを含むため動悸に注意が必要」→ 誤り(マオウは含まれない)
  • ❌「カンゾウを含まない」→ 誤り(含まれる)
  • ✅「体力虚弱で胃腸が弱く疲れやすい人に用いる」→ 正しい
  • ✅「カンゾウを含むため偽アルドステロン症に注意が必要」→ 正しい

補中益気湯の副作用と注意点

マオウを含まないため動悸・血圧上昇のリスクは低いですが、カンゾウ含有のため長期使用には注意が必要です。

甘草(カンゾウ)による副作用

  • 偽アルドステロン症(長期・大量使用):むくみ・血圧上昇・低カリウム血症
  • ※他のカンゾウ含有漢方との重複服用でリスクが上がる

その他の副作用・注意点

  • 胃部不快感・食欲不振(まれ)
  • 発疹・発赤・かゆみ(過敏症)
  • 体力が充実している人が飲むとのぼせ・ほてりが出ることがある
  • ※体力が回復してきたら減量・中止を検討する
💊 薬剤師のひとこと

長期使用する場合は定期的に体の状態を確認することが大切です。カンゾウ含有薬との重複に注意しながら、体力が回復してきたらそのまま飲み続けるのではなく、減量・中止を検討するよう伝えましょう。

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まとめ|補中益気湯を正しく使うために

項目ポイント
向いている体質 体力虚弱(胃腸が弱く疲れやすい人)
効能 疲労倦怠・食欲不振・病後の衰弱・虚弱体質・感冒など
構成生薬 10種(カンゾウあり・マオウ・ダイオウなし)
最大の特徴 胃腸を元気にすることで体全体の気を補う
試験の頻出ポイント 体力虚弱・カンゾウ含有(偽アルドステロン症)・黄耆・人参が主薬
副作用 偽アルドステロン症(カンゾウ)・のぼせ(体力がある人)

補中益気湯は「体が弱った人を底上げする漢方」です。疲れやすい・胃腸が弱い・風邪を引きやすい、そういった虚弱な体質の人に幅広く使えます。

「元気な人がもっと元気になる薬」ではありません。体力の状態を見極めて提案することが、登録販売者として大切なポイントです。

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📝 この記事を書いた人

薬剤師・薬局長(薬剤師歴18年)。調剤薬局で漢方の服薬指導を日常的に行っています。登録販売者試験の頻出漢方を、現場の視点からわかりやすく解説します。