この記事でわかること
- 店舗管理者と研修中の登録販売者の違い
- 2023年改正後の管理者要件3パターン
- 実務経験の正しい時間カウント方法
- パート・扶養内・Wワークでも要件を満たせるか
- 追加的研修の内容と受け方
- 実務従事証明書の取り方
店舗管理者とは?研修中との違いを3分で理解
登録販売者の試験に合格しても、すぐに「一人前の登録販売者」として働けるわけではありません。
合格直後は**「研修中の登録販売者」**という扱いになります。研修中は必ず薬剤師または管理者要件を満たした登録販売者の管理・指導のもとでしか医薬品を販売できません。一人で売り場に立つことができないのです。
一定の実務経験を積んで管理者要件を満たすと、はじめて**「店舗管理者(または区域管理者)」**になることができます。
管理者になると何が変わる?
| 研修中 | 店舗管理者 | |
|---|---|---|
| 一人での医薬品販売 | ❌ 不可 | ✅ 可能 |
| 売り場への単独従事 | ❌ 不可 | ✅ 可能 |
| 店舗の責任者 | ❌ 不可 | ✅ なれる |
| 給与・手当 | 基本給のみ | 資格手当・管理者手当あり |
管理者になると月5,000〜15,000円程度の資格手当・管理者手当がつくケースが多く、年収アップにも直結します。転職市場でも「管理者要件あり」は大きなアドバンテージになります。
2026年現在の管理者要件3パターン
2023年4月の法改正により、管理者要件が緩和されました。現在は以下の3パターンのいずれかを満たすことで店舗管理者になれます。
パターンA|過去5年で2年以上+1,920時間(旧来の王道ルート)
過去5年間のうち、実務または業務に従事した期間が通算2年以上かつ累計1,920時間以上
正社員やフルタイムパートで働いている人の多くがこのルートで管理者要件を満たします。追加的研修の受講は不要です。
パターンB|過去5年で1年以上+1,920時間+追加的研修(2023年改正で追加)
過去5年間のうち、従事期間が通算1年以上かつ累計1,920時間以上、かつ継続的研修と追加的研修を修了
2023年の改正で新設されたルートです。従来より1年早く管理者要件を満たせます。ただし追加的研修(6時間以上)の受講が必須になります。
パターンC|通算1年以上+過去に管理者経験あり(復職者向け)
従事期間が通算1年以上かつ過去に店舗管理者または区域管理者として業務に従事した経験がある
育児や介護でブランクがある方の復職ルートです。過去5年という縛りがないため、10年以上前の管理者経験でも有効です。
実務経験の時間カウント方法
管理者要件で「1,920時間」という数字が出てきますが、これをどうカウントするかが重要です。
月単位でカウントする基本ルール
実務経験は月単位で計算します。
- パターンAの場合:1ヶ月に80時間以上従事した月が対象
- パターンBの場合:1ヶ月に160時間以上従事した月が対象
ただし、月の時間数が基準に満たない場合でも、過去5年間の合計が1,920時間以上あれば要件を満たしたとみなされます(時間数での救済措置)。
働き方別の目安
| 勤務形態 | 月の勤務時間 | 1,920時間達成までの期間 |
|---|---|---|
| 正社員(フルタイム) | 約160〜170時間 | 約12ヶ月 |
| パート週4日(1日6時間) | 約96時間 | 約20ヶ月 |
| パート週3日(1日5時間) | 約60時間 | 約32ヶ月 |
| 扶養内パート(月80時間前後) | 約80時間 | 約24ヶ月 |
パート・扶養内勤務でも管理者要件は満たせる?
満たせます。
月80時間未満でも、合計1,920時間に達していれば問題ありません。ただし「過去5年間」という縛りがあるため、長期間かけすぎると5年を超えた分は切り捨てになります。扶養内で働く場合は計画的に時間を積み上げることが重要です。
Wワークでの合算はOK?
OKです。
A社とB社を掛け持ちしている場合、それぞれの勤務時間を合算してカウントできます。ただし、それぞれの勤務先から実務従事証明書を別々に取得する必要があります。
追加的研修とは?継続的研修との違い
パターンBを選ぶ場合、追加的研修の修了が必須です。
継続的研修との違い
| 継続的研修 | 追加的研修 | |
|---|---|---|
| 対象者 | 全登録販売者 | パターンBで管理者を目指す人 |
| 受講時間 | 年12時間以上 | 合計6時間以上 |
| 内容 | 医薬品の最新知識など | 法規・コンプライアンス・コミュニケーション演習 |
| 形式 | 録画配信でも可 | ライブ配信または対面のみ(録画不可) |
追加的研修の最大の特徴はライブ形式であること。録画視聴では認められません。オンライン受講はできますが、リアルタイム参加が必要です。
受講機会は各都道府県の薬務課や業界団体から案内が出ます。勤務先の企業が研修を手配してくれるケースも多いので、まず職場に確認してみましょう。
実務従事証明書の取り方
管理者要件を満たしたことを証明するには**実務従事証明書(または業務従事証明書)**が必要です。
証明書の種類
- 実務従事証明書:合格前に一般従事者として働いた期間の証明
- 業務従事証明書:合格後に登録販売者として働いた期間の証明
取得の流れ
- 各都道府県のホームページから書式をダウンロード
- 勤務先(または元勤務先)に記入・押印を依頼
- 新しい勤務先や保健所に提出
退職後でも請求できる?
できます。
法律上、企業は証明書の発行を拒否できません。退職後であっても請求権があります。過去の勤務先が廃業していない限り、遡って証明書を取得できます。
転職や退職の際は、在職中に証明書を取っておくのがトラブルを防ぐうえで確実です。
薬剤師からひとこと
薬局長として多くの登録販売者と一緒に働いてきた経験から、正直に言います。
管理者要件を満たすことよりも、その後の方が大事です。
要件を満たして店舗管理者になると、今度は研修中の登録販売者を指導する立場になります。「自分が研修中のとき、先輩にどう教えてもらったか」を思い出しながら、後輩への丁寧なフォローを意識してほしいと思います。
また、「1年で管理者要件を満たせる」と聞いて焦る方もいますが、知識と経験は時間をかけて積むものです。要件をクリアすることがゴールではなく、お客様に安心して市販薬を選んでもらえる登録販売者になることが本来の目標です。
パート勤務や扶養内での働き方でも管理者を目指せる時代になりました。自分のペースで着実に経験を積んでいきましょう。